千駄木てねの楽屋

VTuberもどきである千駄木てねのブログ。

日本のアニメとエログロアニメばかり放送されるアメリカの【adult swim】を知ってますか?

 本稿は下記URL動画の台本となります。

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 せっかくがんばって調べたり、台本を書いた割に、噛み噛みでしゃべりが下手だったので、せめて文章として昇華させようと思い、ブログを始めました。 

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 みなさんこんにちは。VTuber千駄木てねです。

 今回はいつものゲーム実況ではなく、わたしのアイキャッチやヘッダーの元ネタである、アメリカのテレビチャンネルの放送枠[adult swim]についてお話をしたいと思います。こちらは日本でもおなじみのアニメ専門チャンネルカートゥーンネットワーク」で、深夜に編成されている大人向けの番組がメインの放送枠です。

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 「カートゥーンネットワーク」は日本でもケーブルテレビを通して見られるのでご存知の方が多いと思いますが、『パワーパフガールズ』をはじめ、PUFFYがモデルの『ハイ!ハイ! パフィー・アミユミ』、また『トムとジェリー』や、ハンナ・バーベラ・プロダクションの『チキチキマシーン猛レース』、ワーナー・ブラザースの『ルーニー・チューンズ』など、海外アニメが視聴できるアニメ専門チャンネルで本社はアメリカです。

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 アメリカのチャンネルも番組のラインナップは日本とそこまで変わらないのですが、日本だと海外アニメが放送されているように、逆にアメリカの場合は日本のアニメが放送されるチャンネルとして知られています。1998年に『ドラゴン・ボールZ』が週5で放送され、全米で大ヒットしてから、今に至るまで『遊戯王』や『NARUTO』など日本のアニメがまともな時間帯に放送されています。だって、他局だと『セーラームーン』が朝の5時とかだったんですよ。

 そして、[adult swim]というのは、本来子供向けのアニメチャンネルのはずのカートゥーンネットワークが夜になると豹変して、一気に倫理観が欠如する番組が多数流れる放送枠です。

 放送枠ってどういうことって思われるかもしれませんが、テレビ朝日の「ニチアサ」やフジテレビの「ノイタミナ」みたいにシーズン毎に同じようなジャンルの番組が放送されるということです。で、それが平日ほぼ毎日編成されているのでテレ朝の23時以降の「ネオバラエティ」みたいな感じですかね(よくわかってない)。

 ここで放送される番組というのは主にアニメなのですが、日本でも人気でNetflixで見ることができる『リック・アンド・モーティ』はもともとここで放送されていました。ただ、ここのチャンネルで放送されているオリジナルのアニメって、『リック・アンド・モーティ』以上に意味不明で、不気味で、グロくて……。だけど、そんなチャンネルなのに見てる人は多くて、しかも独自のカルチャーが形成されていておもしろいんですよ。

 前置きが長くなりましたが、今回はそんな大人向けのアニメチャンネル[adult swim]についてお話したいと思います。

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 まず、なんでわたしがそんな日本では展開されていないアニメの放送枠を知っているのかというと、わたし子どもの頃と学生の頃に2回ほどアメリカに住んだことがあるんですよ。

 それで子供の頃からカートゥーンネットワークで『パワーパフガールズ』とか『デクスターズラボ』は見てたので、このチャンネルとアニメは知ってたんですよ。

 それで、一度日本に戻ってまたアメリカに住むことになったんですけど、その時期のわたしの英語力って子供の頃と変わってないから、しゃべりとかリスリング力は幼児レベル。だから、日常生活はもちろん、唯一の娯楽であるテレビも何言ってるのかさっぱりわからないんですよ。さらに、案の定ゴリゴリのホームシックになって日本が恋しい……それで仕方なくカートゥーンネットワークで『ティーンタイタンズ』とか子供向けのアニメを見てたんだけど、22時になったら急にサグいヒップホップのCDに貼ってあるような「ペアレンタルアドバイザー」が画面上に映し出されて、何かと思ったら[adult swim]の放送枠が始まったんです。

 急にこれまでのポップな雰囲気と変わったなと思ってたら、アメリカにいるのにBEAT CRUSAIDERSの「TONIGHT TONIGHT」が流れ始めて『BLEACH』が始まったんですよ! 本当に日本のアニメって海外でも放送されてるんだって初めて思い知りましたね。

 当時、わたしマンガも『Mr. FULLSWING』と『さよなら絶望先生』の2作品しか持ってなくて、アニメもポケモンとかドラえもんぐらいしか見ないぐらい、特にアニメが好きってわけでもなかったんだけど、いやもう吹き替えが英語でもせめて日本のコンテンツに触れることができればと思って食いついて見たんですよね(なぜその2作品?)。

 今でこそ、U-NEXTとかNetflixとかTVerとかがありますけど、当時は海外で好きな日本の番組を見るには、大都市にある日系スーパーで販売されている日本の番組を録画したDVDを買うか、中韓の違法アップロードサイトで違法視聴するぐらいしか方法がなくて……。ただ、DVDの場合はドラマ2話分が収録されて1枚5ドルだったりするからたくさん買えないから、すぐに枯渇するし、違法アップロードサイトは当たり前のように犯罪だからすぐに消されます。

 そして、この[adult swim]では『BLEACH』の他にも『BLOOD+』や『鋼の錬金術師』が放送されてたから、この放送枠でわたしの中の日本のコンテンツ不足を解消してたんですよ。ここでなら日本のアニメが毎日見られますからね。この放送枠は2001年から始まっており、そこから20年間ずっと『カウボーイビバップ』は欠かさず放送され続けています。なんで?

 ただ、なんだかアニメの途中で流れるCMが不穏で……。というのも、朝のニュース番組とかでは流れない「バイアグラ」の宣伝とか、なんか妙にエロいかグロい内容で商品をPRするCMが妙に多い印象を受けます。

 そして、日本のアニメが1時間分放送されたら、今度はこの放送枠のオリジナル作品が始まるんですけど、その代表例が『Robot Chicken』です。クレイアニメなんだけど、大人向けというか、しょっちゅう四肢はもげるし、登場するキャラクターみんな口悪いし、人形だけどおっぱい出したり、しかも他の作品のパロディも多くてピカチュウとかがすごい悪いこと言ったりするの。わたし、当時ティーンネイジャーだから「何なのこの不謹慎さは?」と思いました。でも、エロとグロってやっぱり人気のコンテンツのようで、調べたら今もまだこの放送枠の主軸として放送されているようですね。

 ちなみに、公式インスタグラムにあった動画です。まだ、これはかわいいもんです。

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 他にも今でも人気なのはこれは[adult swim]オリジナルではありませんが、『Family Guys』です。こちらは20年以上も前から製作されているアニメで、絵柄やキャラクターはかわいらしいですが、とにかく差別的。内容的にはグリフィン一家のお父さんのピーターが何かしらのトラブルを引き起こして、家族みんながそのトラブルに巻き込まれているという、ドタバタコメディなんだけど、ストーリーの合間に小ネタというかジョークが挟まれていて、例えば「アジア系の人たちが住む街でのCBS(テレビ局)の目玉のロゴは細くて釣り上がってる」とか……。『サウスパーク』以上に宗教、モラル、人種をネタにしたブラックジョークが多いし、あと普通に血も出る。でも、人気です。 

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 この2作品のように[adult swim]で放送されるアニメって全体的に不謹慎でグロいのが多くて、他にはファーストフード店のシェイクと、フライドポテトとミートボールの3人が怪物たちとだらだら話す『Aqua Teen Hunger Force』。なぜか日本語版のDVDがあります。

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一家全員何かしらの障害を抱えていて、末っ子の女の子はかわいいけど、頭にディルドが生えてる『The Oblongs』。

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南部のヒルビリーイカの家族の自堕落な生活を描いた『Squidbillies』。

 

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キリスト教原理主義者の少年が聖書や牧師の言葉を盲信してしまい、非道徳的な行動を繰り広げる『Moral Orel』などなど。なんか全体的にキャラクターの紹介だけでも、めちゃくちゃですね。

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 そんな日本のアニメが見られるとはいえ、倫理観が欠如した内容の番組もたくさん放送されている[adult swim]ですが、グロいのとか無理でもわたしが好んで見てた理由がCMの間に流れるアイキャッチや番組のプロモーションです。 

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 いや、放送されているアニメの内容の割に、CM明けに挿入されるコマーシャルバンパーと呼ばれるアイキャッチが、めっちゃお洒落なんですよ。わたしが見ていた頃は日本の風景や自然のティルシフトの画像と、MadlibことQuasimotoやYesterdays New Quintetのローファイなヒップホップ、CASINO VERSUS JAPANのアンビエントや、LFOエレクトロニカなど、落ち着いた音楽が組み合わさっていて、しかもパターンもいくつもあるからいいんですよ。Nujabesみたいな感じです。

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 YouTubeでも「Adult Swim Bump」と検索すると、まとめられたコンピレーションが結構出てきます。ティルシフトの画像もすごい印象深い風景だから、やたらと覚えてるんですよね。わたしも今、動画を作るに当たってアイキャッチというか、一旦区切りたいときに何かいい案がないかなと思って、こちらを模範しました。個人的にはアメリカにはいても、東京に行ったことがなかったので、東京の風景が使われているバンパーが好きですね。わたしも本当はもっとアイキャッチのバリエーションを増やしたいのですが、[adult swim]の雰囲気に近い著作権フリーの音楽と写真がなかなかないんですよね。 

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 でも、これやっぱり、深く印象印象に残るのってやっぱり、本編のアニメとのギャップからくるんだと思うんですよね。めっちゃ血しぶきとか吐瀉物とか放送禁止用語が目白押しの不道徳なアニメばかりなので、その間に挟まれる都会的でスタイリッシュなアイキャッチは目立ちます。あとは、やっぱり曲のセンスがいいですよね。Madlibもそうですし、Flying Lotusの曲なんかも使われています。

 ただ、時代によってこのコマーシャルバンプは変わるようで、今はサイケでトリッピーな感じになっているそうですね。YouTubeだと、わたしが見てた頃のやつは「nostalgy」ってタグが付いてますね。動画が投稿されたのも10年以上前ですし。

 また、変わったといえば、昔は日本のアニメもこういうジャジーな音楽と一緒にプロモーションされてたのですが、最近は[adult swim]の放送枠内に「TOONAMI」が編成されて日本のアニメはこっちで放送されているらしいので、プロモーション動画がダサくなったんですよね。

 話がややこしくなるのですが、「カートゥーンネットワーク」にはもともと「TOONAMI」という2時間程度の放送枠があってここでは『バットマン』、『スーパーマン』、『スパイダーマン』などのアメコミのアニメや、『新世紀エヴァンゲリオン』や『ワンピース』が流れていました。冒頭で紹介した『ドラゴンボールZ』もこの枠での放送でした。これが今は[adult swim]の中に編成されていて、土曜の深夜12時から3時ぐらいまで『ドラゴンボール超』や『ジョジョの奇妙な冒険』など、日本のアニメが放送されているようです。

 ただ、この「TOONAMI」のコンセプトが近未来風の宇宙船に乗ったアンドロイドかロボットが、アニメを紹介していくという感じなので、なんというかダサいんですよね。まぁ、アメリカ人も今は日本のアニメは「Crunch Roll」で見ますしね。

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 そんな[adult swim]ですが、当然ながらそこで放送されているアニメの中身から、日本のカートゥーンネットワークではもちろん放送されていません。しかし、2019年、あのホラーマンガの巨匠・伊藤淳二の名作『うずまき』が[adult swim]主導でアニメ化されることが発表されました。放送されるのは「TOONAMI」の枠です。

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 アメリカでの公開は2021年を予定していますが、国内での放送・配信はまだ発表されていません。もしかしたら、『うずまき』をきっかけとして、このヤバいながらも、スタイリッシュなチャンネルが日本にも……いや、それはないか。

 そんな感じで、放送されているアニメは不道徳でも、アイキャッチや音楽は洗練されている[adult swim]。YouTubeにも公式チャンネルがあるので、是非そちらや気になった項目を検索していただければと思います。

 それでは、今日はここまで。じゃーねー。